宇多田ヒカルがロンドンのレコーディングスタジオから生中継した2016年紅白歌合戦。
彼女の耳を覆っていたヘッドホンは、ソニーが世界に誇るモニターヘッドホンでした。
しかし、ヒカルちゃん、オジサンたちのように素直にCD900ST使っていれば、本番でカラオケから音が取れないってことはなかったと思うよ。
残念!
CD900ST宇多田ヒカルバージョン(笑)
ということで私も同じソニーのスタジオモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」という、往年の名機を気に入って使い続けています。
紅白の宇多田ヒカルちゃんを見て、嬉しくなってしまったので、同じ見栄えにしようと、「for DIGITAL」の赤いシールを剥がしてしまいました。
しかし、4年も使い続けると、シールを剥がす時、シールの接着剤が本体に残ってしまいます。
一度はみなさんご経験がおありになると思います…
経年劣化したシールはうまく剥がれないのです!。そういう時にヘタにコスったり、洗ったりすると最悪の状態になりますので、ご注意あれ!です…w
そういうときはなんと、消しゴム!が一番ラクに剥がせます。
シールの接着剤は粘着性なので、水でも、洗剤でもうまく除去できません。
「シールはがし剤」は有効ですが、これをヘッドホン本体に使おうものなら、本体内部に浸透してしまって悪影響がありそうです。
そういう時、事務用の「消しゴム」でいいので、あまり力を加えず、何度も繰り返しながら、消しゴムがすり減っていくのを待つように、接着剤の上をこすります。
そうすると、ケシカスに接着剤が混ざり込んで行き、最後は本体からすべて接着剤がなくなるという仕組みです。いい方法だと思いませんか?
ヘッドホンがボロボロになってしまった
ソニーが誇るプロフェッショナル仕様のモニターヘッドホン「MDR-CD900ST」の耳あて部分がボロボロになって裂けてしまい、めくれてしまいました。
そこで、交換用のイヤーパッドを取り寄せて取り替えました。修理ではなく「交換」です。細かな手順は後述しますが、古い耳あてを手で外して、新しい耳あてを手だけで装着できます。この耳あては通常「イヤーパッド」と呼ばれています。
私のイヤーパッドは、購入から4年目の交換です。
耳への圧迫が軽く、ぴったりフィットして繊細に音を伝えてくれるソフトなイヤーパッド。こんなやわそうな部品に、4年もの耐久性があったなんて、さすが放送局仕様の運用品質ですよね…
イヤーパッドを気分よく簡単交換!
今回、交換用のイヤーパッドに交換した感想は、交換作業の時にはサッと外れて簡単装着できたことへの驚きです。これまでの4年間の利用では、イヤーパッドが本体から外れたことがなく、そもそも外れるものと思っていなかったからです。
これがプロ現場の運用機動性なんでしょうね!
モニターヘッドホンの命といえる、繊細な再生音質を重視すると、部品はデリケートになるはずです。ましてプロの現場は、長時間運用が前提です。密閉型ヘッドホンだからといって強い圧迫を押し付けたら、耳が痛くなってしまいます。
工事現場のような耐久性を求めるのではなく、壊れるものは壊れると割り切っていて、交換部品が手頃な価格で提供される。しかも簡単に取り付けられることに、とても気分が良いです。
質実剛健のプロ用機材「for DIGITAL」!
ソニー・モニターヘッドフォンMDR-CD900ST。見慣れていましたが、こうやって見ると質実剛健でカッコいい。デザインに媚やムダがないと思いませんか?
「for DIGITAL」っていう赤いシールも、かつては重要な意味があったのですよ!
このヘッドフォンが初めて世に出た1980年代!は、CDプレーヤーやデジタルレコーディングが登場して間もない頃で、従来のアナログオーディオと新時代のデジタルオーディオが混在していました。
MDR-CD900STは、新世代のデジタルオーディオに対応した機器であることを示していたのです。
YouTube、iTunes、CD、DVD、デジタルTV、普段私たちは当たり前のようにデジタルオーディオを聴いてます。
しかし1980年代当時は、戦前から始まる長い歴史を培ってきたレコード盤やアナログ録音テープ、電波放送を相手にしたアナログオーディオが現役を続けていました。
そんな中で、一気に立ち上がったデジタルオーディオは、無音から最大音までの信号幅が人間の可聴域を凌ぐ性能と、より大きく繊細なダイナミックレンジのサウンドとしてこの世に響き渡るようになりました。
小さい音は、輪郭を残しながらより小さく繊細に、大きい音は歪みなく響き渡る、「CDクオリティ」と呼ばれたデジタルオーディオを再生できる機器に与えられた称号が、この「for DIGITAL」シールだったのです。
イヤーパッドがボロボロになってしまった!
そんな相棒のようなヘッドホンがこわれてしまった…;
イヤーパッドがボロボロになって内側からめくれ上がってしまったのです。
これでは音も変になりますよね…
イヤーパッドの内側が裂けたのか剥がれたのか、スポンジが剥き出しになっています。
4年あまりの使用でパッドが劣化し、当初の艶消しだったしなやかさが感じられず、ボロボロに固くなってしまいました。
最近、作業中に耳に違和感があるなあと思っていたのです。時間が経ってくると耳の後ろが我慢できなくなってきます。確かにこれではしかたがない。気づいていなかっただけで音質も相当変化しているんじゃないかと…w
リペアパーツは左右の耳2つ分を購入!
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これが新品のイヤーパッドです。いかにもしなやかで薄い表皮で柔らかそうでしょ?
ほんとうに見た目どおりソフトなのです。細かい「しわしわ」もつけて気づかないくらい柔らかい。だからこそ軽い圧迫でもぴったり耳にフィットするのでしょうね…
交換部品はリペアパーツとして商品販売されています。仕様は「品番 211569502 品名 PAD (SCREEN) .EAR、MADE IN THAILAND」。これを2セット買いました。常に在庫があり、即時配送してくれるサウンドハウスで買いましたが、アマゾンでも楽天でもヨドバシでもお好きにどうぞ。
イヤーパッドは両耳同時に劣化しますので、くれぐれも2セット買うことを忘れないでくださいね。プロ用のリペアパーツなので、両耳セットで売ってないかもしれません。私のは、ソニーの純正リペア品ですが、1セットには片耳ずつ1個しか入っていませんでした。もちろん左右兼用です。
ハイ!エラそうに解説している私も、1個と2個をまちがえて二度注文しました…w
さあ交換!古いイヤーパッドを外す
古いイヤーパッドを外した写真です。耳に当たる方をこちらに向けています。パッドが破れてから使い続けていたからでしょうか、若干円盤の下のほうが汚れています。中央の振動部を傷つけないように、綿棒とアルコールで清掃しました。
イヤーパッドが裂けてめくれたら、すぐに交換するようにした方がいいという教訓でした…
本体からイヤーパッドを外すには、イヤーパッドの周囲を引っ張れば、ズルッと簡単に外れます。純正イヤーパッドは、交換を容易にするために周辺をリング状に固くしているようです。なので、少し引き伸ばしながら外す必要があるかもしれません。
自信が無い方は、古いイヤーパッドを少し外して、また戻すことをやってみると、イヤーパッド装着部分がどういう仕組みになっているか、おわかりになると思います。
指先に力をかける必要があるかもしれませんね。
新イヤーパッドの装着手順とコツ!
新しいイヤーパッドを本体に装着するには、外した手順を逆に行えばいいだけですが、少しコツがあります。
イヤーパッドは天地縦横の区別がない楕円形をしていますが、本体側のマウントが耳の形に合わせて、少し斜めに傾いています。楕円の向きに合わせて装着するようにしてください。
楕円の傾きを無視して装着するとすると、引きつったようになりますので気をつけてください。柔軟性があるので装着できてしまうのです。
新品のイヤーパッドは、はじめて見ると装着部分に戸惑うと思います。古いイヤーパッドのように、本体への装着部分が「ペロッ」と浮き上がっていないのです。
なので、指で装着部分を浮かせながら、ヘッドホン本体の溝の部分に差し込んでいきます。
装着の最初は、パッド天地の曲線部分中央から、本体の溝に差し込むようにして、ある程度、パッド周囲の曲線部分が固定できたら、反対側も同様に固定します。
そして最後に直線部分を差し込むといった手順で行うとスムーズにいきます。
パッド周囲のリングが硬めなので、無意識に爪を立てないようにして、少し力を加えて外に引っ張る必要があるでしょう。
最後は、上の写真のようにパッドを上下を持って、少し左右にひねると馴染みます。
MDR-CD900STの魅力
このヘッドホンを使っていて思うことは、原音への忠実さを追求したものだと感じることです。
実際、この製品の生い立ちが、ソニー・ミュージックスタジオ(旧CBSソニー信濃町スタジオ)で使用するためだけに開発されたという、究極のスタジオユースヘッドホンだからでしょうね…
その後、このスタジオでヘッドホンを使用したアーティストの支持が広がり、世界中で利用されるまでに需要が広がりましたが、テレビでも使用風景をよく見かけます。
「10点、10点、9点、10点・・・」というかけ声の審査が有名な、ものまね紅白歌合戦、審査員が付けているヘッドホンもこの「MDR-CD900ST」です。髪型が気になるのでしょうか。ある審査員はヘッドホンを顔の下から掛けています。
そういう方は、おじさんの男性審査員が多いですよね。髪型が気になるのは女性ではないの?と思いますよね…
もちろん女性もそうですが、私も中年と言われる年齢になって、その理由がわかるようになりました…w
いくら有名人でも中年男性になると薄毛が気になるのです。それこそ髪の毛一本のレベルまで気を使い、髪の毛同士を立体的に絡み合わせてセットします。そうすると強い照明下でも地肌が透けて見えにくいのです!
装着の時にお話しましたとおり、このヘッドホンの耳あて部分であるイヤーパッドは、左右の耳が共通に作られています。同時に上下も共通な長円形。内側のユニットも上下の差は見当たりませんし、左右上下自由に装着していいように設計されているのでしょう!
音が良すぎる問題!
実はこのヘッドホンの音は賛否両論があります。再現能力が高いため、音場を近くに感じすぎるのです。これがいいか悪いかではなく、この音が業界の標準音なのでしょうね…
CDやYouTube、iTunesやGoogle Play Musicなどのネット配信を聴いている限り、このヘッドホンは、至近感・臨場感・繊細感・音圧感、いずれも優れた再生装置となりうるに違いありません。
しかし、気をつけたい点もあります。音の作り手が、意図していない域までサラリと聞こえてしまうのがこのヘッドホンです。本来は聞こえなくてもいい音まで聴こえてしまうことを留意する必要があるのです。
特に古い音源を好む方は、不要な音が混ざっていたり、低音から高音までのバランスのマズさが気になると思います。昔のアナログ録音は、おもしろいほどいろいろな雑音が混ざっていますよ…w
そういう場合は「デジタルリマスター」というデジタル時代向けにリマスタリングという再編集作業を行った音源を聴いたほうがいいと思います。著名なCD音源は、多くがデジタルリマスター化されています。
でも、このヘッドホン「MDR-CD900ST」を手にする方々は、既存の音源を楽しみで聴くというより、仕事やライフワークで世に音源を送り出すためにマスタリングに携わる方々が多いのでしょうね!
私もはしくれながらその一人ですが、最初の頃、このヘッドホンを使って恐怖を感じました!
このヘッドホンできれいに聴こえるようなバランスの音楽を作ると、たとえばギターのカッティングやコーラスボイス、果ては、ボーカルソロのアクセントとか、普通のヘッドホンやイヤホンで聞こえなくなったのです!
理由は、ヘッドホンやイヤホンの再生能力の限界にありました。低音から高音までガンガン盛り上がっている時に、普通の再生では他の音を鳴らす余裕が無かったのです。
もちろん、人間の耳や、MDR-CD900STなどプロ仕様のモニターヘッドホンであれば難なく再生します。
MDR-CD900STは業界標準だけど市場の標準ではないというお話です。
要するにTPOが違うのです。よく、レビューコメントなどで、批判的な内容を見かけますけど、至極当然ですよね…w
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